日本のカーニバル戦争

日本のカーニバル戦争
  • 『日本のカーニバル戦争 : 総力戦下の大衆文化1937-1945』
  • ベンジャミン・ウチヤマ [著]、布施由紀子 訳
  • みすず書房
  • 2022.8
  • ISBN: 9784622095231
  • 出典:国立国会図書館書誌データ(2024年8月19日取得)

総動員令が発令されても、「臣民」は息をひそめ、ただ同調したわけではない。統制が厳しくなるにつれ、大衆は無遠慮、不謹慎、価値倒錯的な行動さえとるようになり、メディアもそれを煽ったのだ。日中戦争の従軍記者は、戦場での「百人斬り競争」をこぞって報じ、銃後はその記事に飛びついて、文字通り「消費」した。「スリル」という日本語も、この頃生まれた。20世紀初頭のロシアの文学理論家バフチンは、このような状況を「カーニバル」と呼んだ。社会の通常のルールが一時的に適用されなくなり、既存の階層構造が壊されて平準化する、過渡的な瞬間のことだ。そこでは強者が貶められ、弱者や一癖ある者がコミュニティの「カーニバル王」に祭りあげられる。こうして「カーニバル戦争」は「大衆に、鬱積した不満を吐き出すセラピー効果のある通気口を提供」した。その象徴的な存在として本書が取り上げるのは、(1)「スリル・ハンター」となった従軍記者、(2)高給取りの軍需工場の職工、(3)兵隊(帰還した傷病兵を含む)、(4)映画スター(総力戦のチアリーダーも務めた)、(5)少年航空兵(戦争末期には特攻隊員に)。著者は日本の近現代史を専門とする、アメリカの気鋭の歴史学者。膨大な量の当時の新聞雑誌からの引用(軍国少年の投書や柳屋ポマードの広告まで)を土台とした、「消費者=臣民」の具体的な描写に、読者は魅了されるだろう。

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奴隷会計

奴隷会計
  • 『奴隷会計 : 支配とマネジメント』
  • ケイトリン・ローゼンタール [著]、川添節子 訳
  • みすず書房
  • 2022.8
  • ISBN: 9784622095248
  • 出典:国立国会図書館書誌データ(2024年8月19日取得)

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政治的なものの概念

政治的なものの概念
  • 『政治的なものの概念』
  • カール・シュミット 著、権左武志 訳
  • 岩波書店
  • 2022.8
  • ISBN: 9784003403020
  • 岩波文庫 ; 34-030-2
  • 出典:国立国会図書館書誌データ(2024年8月19日取得)

政治的なものの本質を「味方と敵の区別」に見出したカール・シュミット(1888-1985)の代表作。1932年版と33年版を全訳し、各版での修正箇所を示すことで、初出論文である27年版からの変化をたどれるように編集。さらに63年版の序文や補遺等も収録した。行き届いた訳文と解説によって、「第三帝国の桂冠法学者」の知的軌跡が浮かび上がる。

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非暴力の力

非暴力の力
  • 『非暴力の力』
  • ジュディス・バトラー 著、佐藤嘉幸, 清水知子 訳
  • 青土社
  • 2022.8
  • ISBN: 9784791774869
  • 出典:国立国会図書館書誌データ(2024年7月17日取得)

暴力とは何か。暴力を正当化する「自己防衛」、その「自己」の意味を徹底的に問い直し、人間が根本的に、他者や非人間を含む環境と相互依存していることを明らかにする。私たちは個人主義の罠を超えて、どのように連帯することができるのか。常に現代の諸現象を鋭く分析し、精神の最深部に訴えかけ続けてきた著者が示す、戦争とレイシズムの時代における非暴力のマニフェスト。

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ナイス・レイシズム

ナイス・レイシズム
  • 『ナイス・レイシズム : なぜリベラルなあなたが差別するのか?』
  • ロビン・ディアンジェロ 著、甘糟智子 訳
  • 明石書店
  • 2022.8
  • ISBN: 9784750354224
  • 出典:国立国会図書館書誌データ(2024年7月17日取得)

黒人や先住民、アジア人などの非白人を日常的に差別するのは、敵意をむき出しにする極右の白人至上主義者ではない。肌の色は気にしないという「意識の高い」リベラルだー善意に潜む無意識の差別を暴き、私たちの内に宿るレイシズムと真に向き合う方法を探る。

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心はこうして創られる

心はこうして創られる
  • 『心はこうして創られる : 「即興する脳」の心理学』
  • ニック・チェイター 著、高橋達二, 長谷川珈 訳
  • 講談社
  • 2022.7
  • ISBN: 9784065241066
  • 講談社選書メチエ ; 767
  • 出典:国立国会図書館書誌データ(2024年7月17日取得)

無意識の思考、深層心理、内的世界…そんなものは存在しない。記憶の中の光景も、政治的信念も、あの人を見た時のときめきも、すべては脳の即興=瞬間的にでっち上げているものだった!最新の神経科学や認知心理学研究による常識を揺るがすような実験結果の数々で私たちの「心」の理解を刷新する、超刺激的論考!

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リーディングス合理的選択論

リーディングス合理的選択論
  • 『リーディングス合理的選択論 : 家族・人種・コミュニティ』
  • 小林盾, 金井雅之, 佐藤嘉倫 編、鈴木伸生 [ほか] 訳
  • 勁草書房
  • 2022.8
  • ISBN: 9784326603534
  • 出典:国立国会図書館書誌データ(2024年7月17日取得)

社会科学の多様な展開を支えてきた合理的選択論の最重要論文集。人びとの行動や社会の動きを「各個人の合理的判断の結果」とみなす合理的選択論(合理的選択理論、rational choice theory)の、現代社会でも輝きを失わない、骨太な古典的業績。

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平等と効率の福祉革命

平等と効率の福祉革命
  • 『平等と効率の福祉革命 : 新しい女性の役割』
  • イエスタ・エスピン=アンデルセン [著]、大沢真理 監訳、不破麻紀子 [ほか] 共訳ほか
  • 岩波書店
  • 2022.7
  • ISBN: 9784006004514
  • 岩波現代文庫. 学術 ; 451
  • 出典:国立国会図書館書誌データ(2024年7月17日取得)

キャリアとジェンダー平等を追求する女性と、性別分業に留まる女性との間で広がる格差。価値観・学歴の似た者同士が結婚する傾向が強まるなか、世帯間の格差が増幅し、不平等が世代を越えて継承され、社会の効率性が損なわれてしまう。この流れを転換するにはどうすればいいのかー。比較福祉国家論の第一人者が抜本的方策を提言。日本の女性の状況を各国と比較分析した解題、日本語版のための用語解説を付す。

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草の根のファシズム

草の根のファシズム
  • 『草の根のファシズム : 日本民衆の戦争体験』
  • 吉見義明 著
  • 岩波書店
  • 2022.8
  • ISBN: 9784006004521
  • 岩波現代文庫. 学術 ; 452
  • 出典:国立国会図書館書誌データ(2024年7月16日取得)

日中戦争、アジア太平洋戦争を引き起こし、日本を崩壊させた天皇制ファシズム。その被害者とされてきた民衆がファシズムを支えていたこと、そして戦争末期の悲惨な体験から戦後デモクラシーが生まれたことを民衆が残した記録から明らかにしてゆく。従来の歴史観に根本的転換をもたらした名著、待望の文庫化。

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戦争と罪責

戦争と罪責
  • 『戦争と罪責』
  • 野田正彰 著
  • 岩波書店
  • 2022.8
  • ISBN: 9784006033323
  • 岩波現代文庫. 社会 ; 332
  • 出典:国立国会図書館書誌データ(2024年7月16日取得)

戦場で残虐行為を行った兵士たちの心情を精神病理学者が丹念に聞き取る。なぜそのような行為を行ったのか、その時に何を感じたのか、その後、自らの行為とどのように向き合ってきたのか…。集団に順応することを求められる社会において、抑圧された「個」の感情を私たちはいかにして回復するのだろうか。

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日本近代村落の起源

日本近代村落の起源
  • 『日本近代村落の起源』
  • 松沢裕作 著
  • 岩波書店
  • 2022.5
  • ISBN: 9784000615341
  • 出典:国立国会図書館書誌データ(2024年7月16日取得)

地祖改正による近世村落の解体は、村請制に支えられてきた秩序を全面的に崩壊させた。未来への予期を欠いたまま、資源を奪い合い、暴力におびえる住民たち。人々は“未熟なリヴァイアサン”、すなわち力を持たない政府の裁定を仰ぎ、相互監視の規約を改めて交わす。近世・近代移行期における日本社会の根本的な変容を描く。

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〈サラリーマン〉のメディア史

〈サラリーマン〉のメディア史
  • 『〈サラリーマン〉のメディア史』
  • 谷原吏 著
  • 慶應義塾大学出版会
  • 2022.8
  • ISBN: 9784766428322
  • 出典:国立国会図書館書誌データ(2024年7月16日取得)

大衆化と差異化「普通の人々」の昭和・平成を描く。「サラリーマン」という戦後の成人男性の典型的な表象が揺らぎつつある昨今。昭和・平成の映画、雑誌、ドラマ、漫画など…。サラリーマンがサラリーマンをまなざすメディアの分析を通じ、大衆化と差異化という視点から、日本社会を支える“普通の人々”の通史を描く。

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