2022年11月11

イギリス社会史 1580-1680 キース・ライトソン(著/文) - 筑摩書房 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784480511423

社会秩序はいつ、どのようにして変わるのか。近世イギリス社会の経験を見事に描き出した社会史の名著。

イギリスで歴史を学ぶ学生の必読書。個別の事象を丹念に読み解きながら社会全体の流れを描き切る叙述の見事さから、1982年の刊行以来、版を重ねてきた。本書が取り上げるのは、封建領主の弱体化による地主階級の勃興、人口激増による食糧価格の上昇、ピューリタン革命などが起きた激動の100年。この期間に、長きにわたって存在し、変わらないように思われた社会構造も、経済の発展と絡み合いながら姿を変えていった。しかしその変化は明るい方向には進まなかった。イギリス全体は豊かになりつつも、経済的格差と文化的分断は、ますます広がっていく。2003年の原著改訂増補版を文庫化。

キース・ライトソン著、中野忠/山本浩司訳。

「自由」の思想史 金子晴勇(著/文) - 知泉書館 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784862853721

「自由」は私たちの生活や社会,政治のいろいろな側面で日々問題となっている。内面の自由から外面の自由まで,それぞれの思いでこの言葉は使われる。

人間にとっての自由とは何か。自由はどのような歴史的な経緯で形成されたのか。ヨーロッパから輸入されたこの言葉は,誰もが知っているが,誰も知らない。本書は行為する人間にとっての意志とその自由の本質を解明する。

古代社会における人間の自由から,後世に多大な影響を与えたアウグスティヌスの自由意志論と恩恵との関連を考察する。さらに中世の自由意志と恩恵の問題をボエティウス,アンセルムスをはじめ,ベルナール,トマスやスコトゥス,オッカムの6人の思想家を通して明らかにする。

ルネサンスと宗教改革時代の自由論はルターとエラスムスの自由意志論争に象徴されるが,それらを受けて啓蒙時代には社会契約や人権思想の影響により社会における自由が社会的課題となった。ヘーゲルは歴史と自由を弁証法的に展開し,自由概念を拡張した。そのなかでカントの超越論的主観性に基づく自由論の影響は広範囲に及び,さらに個人主義はエゴイズムやニヒリズムへと変容し,個人の行為および意志と自由は,深刻な課題に直面した。

今日,他者の喪失や対話の困難さを踏まえ,主観性から間主観性への転換のなかで,「自由」のために個性的人格主義と新たな共同体の構想を展開する。現代人必読の書。

金子晴勇著。

働きがいのある会社とは何か 斎藤 智文(翻訳) - 晃洋書房 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784771036666

どんな企業でも「働きがいのある会社」になれる

数百の会社、数千人を超える社員へのインタビュー調査から「働きがいのある会社」を追究した経営学の歴史的名著の完訳版。『フォーチュン』誌が毎年発表している「最も働きがいのある会社」の選考基準「GPTWモデル」誕生の経緯がここに明かされる。

本書は、どんな企業でも「働きがいのある会社」になれることを証明している。本書から得られる教訓は、CEO、経営・管理層、そして従業員に「働きがいのある会社」を創るためのインスピレーションを与えてくれるはずである。このような努力は、私たちの社会生活を豊かにするだけではない。社会全体がその恩恵を受けることになるのである。(「日本語版のための序文」より)

ロバート・レベリング著、斎藤智文/伊藤健市/岡田寛史/佐藤健司/楠奥繁則訳。

デジタルプラットフォームと労働法 石田 信平(著/文) - 東京大学出版会 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784130361576

ウ―バーイーツなどデジタルプラットフォーム・ビジネスの台頭は、単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」の登場など従来とは異なる社会現象を生み出し、労働法の世界にも新たな課題を投げ掛けている。この近時の大きな変化のなか、これらを近視眼的に捉え法技術的な議論を展開するだけでは、問題の本質に迫ることは難しい。そもそも労働法はどのような社会状況のなかで生成し、展開され、今日に至っているのか。プラットフォーム・ビジネスの出現と成長が、労働法の基盤や構造にどのような課題を投げ掛けているのか。そのなかで各国はどのような法制度の改革を行おうとしているのか。問題の解決に向け、本書は労働法の基底にある「労働者」概念にまで遡り、日本・ドイツ・フランス・イギリス・アメリカを対象に、歴史的・比較法的な視点からプラットフォーム・ビジネスがもたらす課題と展望を明らかにする。

石田信平/竹内(奥野)寿/橋本陽子/水町勇一郎著。

シンボル化の政治学 烏谷 昌幸(著) - 新曜社 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784788517844

共通の認識や感情はいかにして集団の中から創出され、政治的な効力を発揮するのか。シンボル論という哲学的遺産を応用し、政治コミュニケーション研究の中核的な問いを追究する。この分野を根本から基礎付け直し、新たな展開へと牽引する意欲作。

*本書前半では、政治コミュニケーション研究やシンボル論の足跡を振り返る。

*後半では、高速増殖炉もんじゅ、水俣病事件、戦後日本の原子力政策を題材に、シンボルが「結晶化」「浸透」「転換」する具体的事例を観察する。

烏谷昌幸著。

東ドイツ ある家族の物語 マクシム・レオ(著/文) - アルファベータブックス | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784865980899

ドイツでベストセラーのノンフィクションの翻訳、ついに刊行!! 「彼は自分の曾祖父、祖父母、両親、そして自分自身の歴史を、背景となるDDR(東ドイツ)、さらにその前史も対象として描き出した」(Frankfurter Allgemeine Zeitung 文芸欄・書評より)

帝政、共和制、ファシズム体制、占領体制につづいて、東西への分裂を経て統一に至るまで、六回もの体制変換が行われた20世紀ドイツ。アウシュヴィッツで殺害された共産主義者の曾祖父。フランスに亡命しパルチザンとして闘い、東ドイツではジャーナリストとなった祖父。「第三帝国」では小ナチとなり、東ドイツでは小スターリンとして生きたもう一人の祖父。ナイーヴで社会主義の理想に忠実だった母。常に東ドイツに批判的だった父。そして政治に無関心だった著者。彼らにとってドイツとは、そして社会主義国家東ドイツ(DDR)とは何を意味したのか……生き生きと描かれた家族四代の肖像。生身の人間を通したすぐれたドイツ現代史!!

マクシム・レオ著、木畑和子訳。

社会主義前夜 中嶋 洋平(著/文) - 筑摩書房 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784480075109

格差によって分断された社会を、どのように建て直していくべきなのか。革命の焼け跡で生まれた、”空想的”でも”社会主義”でもない三者の思想と行動を描く。

サン=シモン、オーウェン、フーリエ。この三人の名を聞けば、多くの人が「空想的社会主義」という言葉を連想するだろう。だが、彼らの一人として社会主義を打ち立てようとした人はいないし、地に足のつかない夢想家でもない。現在から見れば、彼らは社会企業家や社会プランナーとも呼べる存在だった――。一九世紀初頭、フランス革命と産業革命という二つの革命によって荒廃し、格差で分断された社会をどのように建て直すのか。この課題に取り組んだ三者の思想と行動を描く。

中嶋洋平著。

日本近・現代史研究入門 松沢 裕作(著/文) - 岩波書店 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784000615617

日本近代史・現代史の論文を書く、すべての初学者のために――。テーマの決めかた、史料について、調査の方法、目次のつくりかたなど歴史研究の基盤を、論文執筆の作業フローに即して基本から解説。第一線の研究者たちが提供する大きな見取り図が、研究史と向き合うあなたを助けてくれる。必要なことは、この一冊で分かる!

松沢裕作/高嶋修一著。

社会物理学 小田垣 孝(著/文) - 共立出版 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784320036192

社会は多数の個人の集団であり、各個人の振る舞いが、都市の構造、集団行動、格差社会、合意形成や噂の伝播などの社会現象を引き起こす。社会物理学は、集団における個々の要素の行動をモデル化し、物理学的視点から社会現象の示す普遍的性質を明らかにする学問領域であり、20世紀末から急速に発展している。

本書は、この最新の学問領域「社会物理学」で用いられる理論と手法およびこれまでの成果を系統的にまとめた成書である。各章で取り上げる話題は都市の形成からSNSまで多岐にわたる。これら社会現象の問題点の整理を行った後、現在までに明らかにされている知見を紹介し、最後に今後の課題を説明して、これまでの研究から将来の研究の方向性を見通せるように構成されており、この分野を専攻しようと思う初学者には必読の教科書である。

小田垣孝/佐野幸恵/山崎義弘/山本健著。

日本労使関係史 1853-2010 アンドルー・ゴードン(著/文) - 岩波書店 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784007312380

1980年代に喧伝された「日本型雇用システム」(「終身雇用」「年功序列型賃金制」「企業福祉」「企業別労働組合」……)の形成と変容を、労働者・経営者・官僚の相互関係に注目し分析。近現代日本労使関係を描いた決定版。

アンドルー・ゴードン著、二村一夫訳。

1970年代文化論 日高 勝之(編著) - 青弓社 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784787235084

〈政治の季節〉として語られる1960年代と、大衆消費社会やバブル文化で特徴づけられる80年代に挟まれた1970年代の文化は、2つの時代の「断絶」に位置して見過ごされ、戦後史での位置づけは不十分だった。

沖縄返還や日中国交正常化などの政治の動き、高度経済成長や第一次石油ショックなどの経済の変容を押さえたうえで、1970年代の映画、テレビ、雑誌、文学、音楽、アート、国家イベント、社会運動を横断的に考察する。その際、「家族・若者・中高年」「政治・性・マイノリティ」「国家・地方・周縁」などに注目しながら予断を排して検証する。

〈政治の季節〉から消費社会への過渡期という1970年代の単線的な歴史理解を退けて、新自由主義、新左翼、ポストモダン、戦後民主主義などが複雑に交錯した70年代の文化の深淵に迫り、「70年代とは何か」という問いに正面から応答する試み。

日高勝之編著。