社会思想63

ブラジルの社会思想

ブラジルの社会思想
  • 『ブラジルの社会思想: 人間性と共生の知を求めて』
  • 小池洋一、子安昭子、田村梨花/編
  • 現代企画室
  • 2023/01/25
  • ISBN: 9784773822120

文豪マシャード・ジ・アシスからルーラ大統領まで。
激動と困難の時代を生きぬき、脈々とつむがれてきたブラジル社会思想のエッセンスを集成。
暴力的な対立と分断の危機にさらされた社会に、南の世界が指し示す対話と共生のためのヒント。
ブラジルの社会的現実に対応して独自の思想を生み出してきた思想家・表現者たちを取り上げ、各章・コラムでその生涯と仕事を解説。

-- ブラジルの社会思想 小池洋一、子安昭子、田村梨花(編) - 現代企画室 | 版元ドットコム

『啓蒙の弁証法』を読む

『啓蒙の弁証法』を読む
  • 『『啓蒙の弁証法』を読む』
  • 上野成利/著、高幣秀知/著、細見和之/著
  • 岩波書店
  • 2023/01/19
  • ISBN: 9784000615785

なぜ人類は、真に人間的な状態に踏み入っていく代わりに、一種の新しい野蛮状態へ落ち込んでいくのか――。難解なことで知られるホルクハイマーとアドルノの代表作『啓蒙の弁証法』。この書物で展開される複雑に入り組んだ「理性の自己批判」の理路を余すところなく読み解き、その前史、フランス現代思想、アメリカ批判理論との関係をも踏まえて全体像を解明する。

-- 『啓蒙の弁証法』を読む 上野 成利(著/文) - 岩波書店 | 版元ドットコム

アントピア

アントピア
  • 『アントピア: だれもが自由にしあわせを追求できる社会の見取り図』
  • ウォルター・モズリイ/著、品川亮/訳
  • 共和国
  • 2023/01/15
  • ISBN: 9784907986964

「ぼくたち全員の人生をよりよいものにするには、どうしたらいいのだろう?」――仕事、税金、収入、住居をはじめとする政治・経済から暮らしまで、社会主義と資本主義のハイブリッドを提起する20章。
『ブルー・ドレスの女』(ハヤカワ文庫)など、多くのミステリーで知られるアメリカを代表する黒人作家が、新しい社会のありかたを提言。政治、経済、差別、所有、食べもの、税、労働時間、文化などについてわかりやすく語りながら、21世紀の生き抜きかたを考えます。
著者への最新インタビュー、酒井隆史さん(社会思想史)による2万字解説を附す。

-- アントピア ウォルター・モズリイ(著) - 共和国 | 版元ドットコム

断絶としての教育

断絶としての教育
  • 『断絶としての教育: アルチュセールにおける革命への問い』
  • 野見収/著
  • 東京大学出版会
  • 2023/01/23
  • ISBN: 9784130160452

経済格差や社会的不平等が拡大している現在、学校教育の場は結果的に階級支配を正当化する装置となっている。アルチュセールの思考をたどることで、諸個人を階級支配のイデオロギーから「断絶」し、科学的認識へと導くための新たな教育原理の提示を試みる。

-- 断絶としての教育 野見 収(著/文) - 東京大学出版会 | 版元ドットコム

トゥーキュディデースとホッブズ

トゥーキュディデースとホッブズ
  • 『トゥーキュディデースとホッブズ: 真のリアリズムを求めて』
  • 木庭顕/編集・翻訳
  • みすず書房
  • 2022/12/05
  • ISBN: 9784622095590

鮮やかな論証で先入見を覆す最新最良の論集。HobbesのThoukydides受容を論じる気鋭の2篇(Hoekstra, Iori)を基軸に、Hobbes研究最先端(Malcolm, Hoekstra)、Thoukydides研究(De Romillyの古典的傑作、編訳者書き下ろし)を緊密に編む。同時代の政治状況においてThoukydidesを真剣に読んだHobbesを、現代の私たちが真剣に読む。真のリアリズムを求めて。

-- トゥーキュディデースとホッブズ 木庭顕(編集 | 翻訳) - みすず書房 | 版元ドットコム

アディクションと金融資本主義の精神

アディクションと金融資本主義の精神
  • 『アディクションと金融資本主義の精神』
  • 鈴木直/著
  • みすず書房
  • 2023/03/20
  • ISBN: 9784622096047

中毒、依存、嗜癖(しへき)などと訳される「アディクション」。スマホ、ギャンブル、ゲーム、飲酒、買い物……その対象は多岐にわたり、今日のネット社会ほどアクセスが容易になったことは人類史上かつてない。短期報酬を追い求めるアディクション化した金融経済は、実体経済を呑み込みながら、資本主義のカジノ化を推進している。
拡大するアディクションと、不安定化する金融資本主義。著者はそこに、人間の認知機能にそなわった特異な能力と脆弱性が深く関与していることを突き止める。そもそも近代化と資本主義の内に、アディクションを生み出す認知的なメカニズムが潜んでいるのだ。本書では、カント、ヘーゲル、ゲーテ、マルクスらの近代思想をふり返りながら、両者の関連をたどっていく。
しかも認知機能には限界がなく、それゆえ現代資本主義は、土地も人口も資源も尽きることがない無限の仮想空間(メタバース)に新たな収益源を求めつつある。
社会の断片化によって孤立した個人がアディクション的行動に走り、それが資本主義をさらに不安定化させる。拠り所を失った個人は、やがて独裁者やカルト集団にも容易に隷従することになるだろう。
アディクションを抑制しながら、民主主義が資本主義をコントロールする社会をつくり上げていくことは可能なのか。広い視野と多様な領域から、共に解決を求める場を開く。

-- アディクションと金融資本主義の精神 鈴木直(著/文) - みすず書房 | 版元ドットコム

公共哲学入門

公共哲学入門
  • 『公共哲学入門: 自由と複数性のある社会のために』
  • 齋藤純一/著、谷澤正嗣/著
  • NHK出版
  • 2023/03/25
  • ISBN: 9784140912782

わかりあえない他者と生きる思考法
多様性よりも「複数性」を、そして何よりも人間の「平等な自由」を実現するために――。カントに始まり、功利主義、ロールズ、リバタリアニズムなど定番の要点をしっかり押さえたうえで、デモクラシーの価値を根底から問い直す。「今だけ・自分だけ」の発想を乗り越えて、政治的意思の違いを互いに解消することなく、共に生きていく視点を身につける「新しい教科書」!

-- 公共哲学入門 齋藤 純一(著/文) - NHK出版 | 版元ドットコム

アーレントと革命の哲学

アーレントと革命の哲学
  • 『アーレントと革命の哲学: 『革命論』を読む』
  • 森一郎/著
  • みすず書房
  • 2022/12/20
  • ISBN: 9784622095545

暴力によるのではない仕方で、新しく始めることはいかにして可能か。…革命の成否のカギは暴力にあるとする固定観念を疑問に付し、政治的なものに固有な「権力(パワー)」、つまり言論と行為にみなぎる人間力に革命の本質を見出そうとするのが、アーレントの『革命論』なのである。同じく人類古来の言い伝えを借りて表現すれば、こうなろう――「はじめに言論(ロゴス)があった」と。新しい始まりとしての革命を構想する哲学は、暴力ならぬ言論の力を、つまりその意味での人間力を信ずるものでなければならない〉
アーレント『革命論』をどう読むか。本書は『革命論』の訳者による、詳細なテクスト読解である。「革命とは何か」についてのアーレントの基本的考え方、フランス革命からロシア革命にいたる系譜だけでなく、アメリカ独立革命にアーレントが重点を置いた意味、さらに、始まりとは、約束とは、「どんな革命にも驚くべき規則性で現われてくる新しい国家形態」である評議会制とは、そして憲法とはいかなるものか。
このように『革命論』を読み解きながら、著者はわれわれを取り巻く戦後日本の姿、とくに日本国憲法のあり方をめぐって考察を進めてゆく。
一冊の本から何を知り、理解し、考えることができるか。厳密かつ自由なレッスンの書である。

-- アーレントと革命の哲学 森一郎(著/文) - みすず書房 | 版元ドットコム

価値論

価値論 人類学からの総合的視座の構築
  • 『価値論: 人類学からの総合的視座の構築』
  • デヴィッド・グレーバー/著、藤倉達郎/翻訳
  • 以文社
  • 2022/12/02
  • ISBN: 9784753103713

『負債論』や『ブルシット・ジョブ』そして遺作となった『万物の黎明(The dawn of everything)』(D・ウェングロウとの共著)などの著作で、つねに世の「常識」とされるものの根幹にある思考パターンの転覆を試みてきたデヴィッド・グレーバーが、自身の博士論文の出版を後回しにしてまで取り組んだ「最初の主著」であり、袋小路に入り込んでいる社会理論がそこから抜け出すために仕掛けられた「価値の総合理論」。
さまざまな社会の価値体系を記述してきた人類学は、ポストモダン(思想)と新自由主義が席巻するなか、批判なき相対主義という罠に嵌っている。その人類学を救い出そうとするグレーバーの当初の目論見は思わぬ壮大な思考実験、つまり新たな価値理論の構築へと進む──
「意味の体系(この世界を理解したい)」と「欲望の理論(このような状況を実現したい)」を、そしてカール・マルクスとマルセル・モースを架橋する、のちに複数の怪物的な著作として結実したグレーバー思想の源流。

-- 価値論 デヴィッド・グレーバー(著/文) - 以文社 | 版元ドットコム

公衆衛生の倫理学

公衆衛生の倫理学
  • 『公衆衛生の倫理学: 国家は健康にどこまで介入すべきか』
  • 玉手慎太郎/著
  • 筑摩書房
  • 2022/12/16
  • ISBN: 9784480017628

健康をめぐる社会のしくみは、人々の自由をどう変えるのか。セン、ロールズ、ヌスバウムなどの議論を手掛かりに、現代社会に広がる倫理的な難問をじっくり考える。

-- 公衆衛生の倫理学 玉手 慎太郎(著/文) - 筑摩書房 | 版元ドットコム

変革する文体

変革する文体 もう一つの明治文学史
  • 『変革する文体: もう一つの明治文学史』
  • 木村洋/著
  • 名古屋大学出版会
  • 2022/12/26
  • ISBN: 9784815811082

新たな文体は新たな社会をつくる
小説中心主義を脱し、政論・史論から翻訳・哲学まで、徳富蘇峰を起点にして近代の「文」の歩みを辿りなおし、新興の洋文脈と在来の和文脈・漢文脈の交錯から、それまでにない人間・社会像や討議空間が形づくられる道程をつぶさに描いた意欲作。

-- 変革する文体 木村 洋(著) - 名古屋大学出版会 | 版元ドットコム

デューイ著作集2 哲学2 論理学理論の研究, ほか

デューイ著作集2 哲学2 論理学理論の研究, ほか
  • 『デューイ著作集2 哲学2 論理学理論の研究, ほか: デモクラシー/プラグマティズム論文集』
  • ジョンデューイ/著、古屋恵太/著、松下良平/著
  • 東京大学出版会
  • 2023/01/06
  • ISBN: 9784130142021

デューイが哲学者としての自己像を確立するに至る、初期から中期の論考を精選。多数派支配ではないデモクラシー、実用的な都合次第の真理の探究ではないプラグマティズムの特徴を提示し、ポスト・トゥルースの時代を生きる人々にアクチュアルな示唆を与える。

-- デューイ著作集2 哲学2 論理学理論の研究, ほか ジョン デューイ(著/文) - 東京大学出版会 | 版元ドットコム