
- 『境界の美術史 : 「美術」形成史ノート』
- 筑摩書房
- 2023.9
- ISBN: 9784480511980
- ちくま学芸文庫 ; キ30-2
- 出典:国立国会図書館書誌データ(2025年5月26日取得)
-- 増補改訂 境界の美術史 | 楽天ブックス国家、制度、性、ジャンル、主体……。外在的な近代化から内在的なモダニズムへ。日本における「美術」概念の成立に迫った画期的論集。解説 中嶋泉
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現在の美術を作り出した「境界」が引かれ、社会に浸透していく過程を、制度史的視点から捉えた画期的論集。近代において「美術」概念や日本画をはじめとする諸ジャンルは、いかにして形づくられ、純化へと向かっていったか。衝突や動揺を引き起こしつつも、五感の秩序における視覚の優位、工業社会の到来、固有の造型芸術への意志、これら三つが推進力となって「美術」は成立した。だが、その境界は画定し切ったわけではない。裂け目を孕みながら、未完の運動体として今もわれわれの目の前にある。『眼の神殿』と対をなす本書は、新たな作品創造と歴史記述の可能性へと読者を導く。
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何が美術を規定したのか
概念とジャンルの成立、そしてその先へ──
『眼の神殿』と対をなす画期的論集
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序章「美術」概念の形成とリアリズムの転位
1 国家と美術
「日本美術史」という枠組み
文展の創設
国家という天蓋ーー「美術」の明治二〇年代
美術における「日本」、日本における「美術」--国境とジャンル
2 性と国家
裸体と美術ーー違式?違条例を軸に
美術における政治表現と性表現の限界
3 美術の境界ーージャンルの形成
「日本画」概念の形成に関する試論
「工芸」概念の成り立ち
「彫刻」ジャンルの形成
4 制度から主体へ
工業・ナショナリズム・美術
印象と表現ーー日本印象主義のアポリア
終章「分類の時代」の終わりに
初版「後記」
文庫版あとがき
解説(中嶋泉)
初出一覧
「美術」形成史関連年表
主要人名索引